6月 新緑が眩しい!鈴鹿セブンマウンテンの雨乞岳を登山

山行

はじめに

 近畿、東海地方にお住まいの山好きのみなさま。

 御在所岳には登ったし、鈴鹿の他の山にも行ってみたいというあなた。

 ご近所の雨乞あまごいはいかがでしょう?

 6月末の梅雨のさなか、雨はこれっぽっちも降ってほしくありませんが、友人との日帰り登山の行き先に選んだ雨乞岳です。幸い当日は好天に恵まれました。

 雨乞岳は滋賀と三重を南北に隔てる鈴鹿山脈の中ほど、御在所岳の西側に位置します。東西の双耳峰からなり、西側の雨乞岳は標高1237.7mと鈴鹿山脈で第2位の高さを誇ります。東雨乞岳のなだらかな山頂からは、360度の眺望を楽しむことができます。

 また杉峠から千種ちぐさ街道沿いに歩けば御池鉱山旧跡、コクイ谷付近には炭焼き窯の跡が点在します。山と共に生きた人々の暮らしに触れる山歩きもできます。

 尾根歩きや谷歩き、眺望や旧跡もある変化に富むコースで、読図のトレーニングにもうってつけの雨乞岳の周回コースをご紹介します。

基本情報

  • 日程:2020年6月29日(月)
  • 山域:鈴鹿山脈(滋賀県)
  • 山名:雨乞岳(1237.7m)
  • 体力:★★★★☆ 
  • 技術:★★★★☆(渡渉、読図の技術が必要)
  • 展望:★★★☆☆
  • コースタイム:約6:25(山と高原地図より)
  • 距離:約9.6km(ヤマレコより)
  • 最寄り駅:近鉄湯の山温泉駅の西約8.2km、近江鉄道日野駅の東約15.1km
  • 最寄りIC:新名神高速道路甲賀土山ICより北東へ約15.3km、東名阪自動車道四日市ICより西へ約15.6km
  • 駐車場:武平ぶへいトンネル西口に駐車スペース

コース概要

 雨乞岳へは複数の登山道が整備されています。主なルートは以下の通りです。

  • 武平ぶへいトンネルからのコース:国道477号の武平トンネル西口から東雨乞岳を経て山頂へ至るコース
  • 稲ヶ谷からのコース:国道477号から稲ヶ谷を詰め上がり雨乞岳と東雨乞岳の間の尾根に合流するコース
  • 朝明あさけ渓谷からのコース:三重県菰野町の朝明渓谷から根の平ねっぴら峠を越えて至る長距離コース
  • 甲津畑かづはたからのコース:滋賀県の甲津畑から、渋川沿いに千種街道を登り杉峠を経て山頂に至るコース
  • 綿向山からのコース:滋賀県の綿向山から雨乞岳の西側に伸びる尾根伝いに頂上をめざす縦走路

 いずれのルートも山頂まで距離が長く登山道も複雑なので、時間に余裕を持って出かけましょう。武平峠までマイカーでアクセスすることで、時間と体力に余裕ができます。

 今回は、武平トンネルから周回コースを歩きます。

 標高840mの国道477号(鈴鹿スカイライン)の武平トンネル西口駐車場をスタートし、クラ谷分岐、東雨乞岳を経て雨乞岳の山頂に至ります。下山は杉峠、御池鉱山跡を経てコクイ谷を遡上し、クラ谷分岐に戻り武平トンネル西口に至ります。

アクセス

 武平トンネルの西口と東口に駐車場があります。今回は、西口駐車場を利用します。未舗装の駐車場には乗用車10台以上は停められそうです。

 駐車場から東へ進むと鎌ヶ岳の登山口、西へ向かうと雨乞岳の登山口です。

武平トンネル西口の駐車場

山行記録

 実際の山行記録は以下のとおりです。距離はスマートフォンのGPSで記録したものですので、参考程度にとどめてください。

行程 武平トンネル西口 7:00→41分→7:41 沢谷峠 7:43→11分→7:54 クラ谷分岐 8:00→1時間6分→9:06 七人山のコル 9:10→34分→9:44 東雨乞岳 9:59→20分→10:19 雨乞岳 10:32→37分→11:09 杉峠(昼食) 11:35→14分→11:49 杉峠下キャンプ適地→13分→12:02 御池鉱山旧跡→37分→12:39 コクイ谷出合 12:56→1時間14分→14:10 クラ谷分岐 14:14→9分→14:23 沢谷峠 14:26→34分→15:00 武平トンネル西口
行動時間 6:30(山行)+1:30(休憩)=8:00
距離 11.2km

武平トンネル西口から雨乞岳

 7:00に武平トンネル西口の駐車場を出発します。この場所で既に標高840mですので、得した気分です。

 トンネルの西口を背に滋賀県側へ少し歩いて橋を渡ると、右手に登山道の入口を示す看板があります。

 登山道ははじめスギやヒノキの植林の間を登っていきます。次に植林を抜けると広葉樹林帯をトラバースです。

 沢谷峠までの区間は山行時点で、作業用の道の分岐や崩落地がありました。低山と侮るなかれ、道迷いに注意して進みましょう。

 私は沢谷峠までの区間で2回コースアウトし、不安な歩き出しとなりました。分岐では地図を確認し、間違えたかなと思ったら必ず引き返しましょう。

 7:41に沢谷分岐、7:54にクラ谷分岐を通過します。クラ谷沿いに1時間ほど谷を詰め上がります。

 沢の音を聴きつつ足元に目をやると、流れの中にオタマジャクシが泳いでいます。涼しげです。この日は暑くてたまらず友人と「水浴びしたいなあ〜。」と何度も零していました。

 道は北西から徐々に北向きに進路を変え、谷が広がってくるともうすぐ七人山のコルです。

 9:10に七人山のコルを発ちます。登山道は西向きの尾根伝いとなり、樹林帯を抜け背丈ほどのクマザサの生い茂る斜面を登ります。

 梅雨の中休みの当日は、じりじりと肌を焼く日差しが降り注いでいました。日差しを避けるための帽子は必需品です。30分ほど歩くと9:44、東雨乞岳山頂に至ります。

東雨乞岳から杉峠を経てコクイ谷出合

 東雨乞岳の山頂はなだらかで全方位に展望が広がります。山頂は、雨乞岳よりも東雨乞岳の方が広々していますので、天気が良ければ休憩はこちらでとるとよいと思います。

 東雨乞岳から雨乞岳へは15分ほどです。ふたつの峰をつなぐ尾根の間に稲ヶ谷コースとの分岐があります。分岐の踏み跡は薄く、クマザサが茂って足元が見えにくくなっていましたので、利用時は気をつけたほうがよいと感じました。

 10:19に雨乞岳の頂上へ到着です。頂上には大峠ノ沢と呼ばれる小さな池があります。この池でかつては雨乞いの神事が行われていたそうです。

 山頂から北側への尾根を辿り30分ほど降ります。途中、花崗岩の岩が点在しています。ちょっと岩に登って高みの見物をしてみました。

 北側にイブネクラシに続く尾根が見えます。苔むした台地が美しいとの評判を聞いたことがことがあり、私としては行ってみたい場所です。あそこで幕営なら今からでも十分たどり着ける行程なのですが、今日は日帰りなのでお預けです。

 景色と地図を見比べて、これから行ってみたい山に思いを馳せるのもまた山の楽しみのひとつですね。

 11:09に杉峠に至り、ここで昼食にします。

 鈴鹿山脈の西側の甲津畑と東側の千種を結ぶ古道、千種街道はここ杉峠を通過していました。商人や武士が往来し、かの織田信長も通ったそうです。

 かつては茶屋もあったそうですが、今はないので持参のおにぎりをいただきます。枯れた杉の木に往時を偲びます。

 30分ほど急な坂を降ると、緩やかな斜面にボタ山や石垣が見えてきます。広場はキャンプ適地、その先は御池鉱山旧跡です。幕末から明治にかけて銀や銅などを採掘した鉱山で、最盛期には300人ほどの人々が働いていたそうです。

 御池鉱山旧跡から約30分で、コクイ谷分岐に着きます。登山道は愛知川源流に左岸をなだらかに下っていきます。道が右岸に変わりロープの掛けられた崖を降りると12:39、コクイ谷出合に着きます。

コクイ谷出合から武平トンネル西口

 コクイ谷出合からクラ谷分岐までの谷沿いの区間は、道迷いが多発しているそうです。読図に不慣れな人は決して立ち入らないようにしましょう

 谷の入口には両岸に踏み跡がありました。左岸の道は高巻きとなり途中で不明瞭になりましたので、右岸を進みました。しばらく進むと渡渉し左岸からの道に合流しました。高巻きの道も進めたのかもしれませんが、確かめていないのでわかりません。

 左岸の道は、はじめ谷底から高い場所を進みますが次第に谷底に近づきます。

 所々にある石組みは炭焼きの窯でしょうか。

 小さな花々に力をもらいながらもうひと踏ん張りです。

 木の枝につけられたピンクのリボンや指導標、踏み跡を辿り遡っていきます。上流部では谷がいくつにも分岐しています。クラ谷分岐方面への道が伸びる谷の入口を間違えないよう、注意深く進路を取ります。

 14:10にクラ谷分岐、14:23に沢谷分岐に到着します。沢谷からは往路で通った道ではなく、いっぷく峠登山口の方面の道を取ります。急坂を降るとスカイラインに合流します。15:00武平トンネル西口に戻ります。

装備

 一般的な日帰り登山の装備をご準備ください。山頂付近は日差しを遮る木々がありませんので、帽子は忘れずに

 また、幸い今回は遭遇しませんでしたが鈴鹿の山ではヤマビル被害者の声をしばしば耳にします。ヒル対策も大切です。

おわりに

 山頂からの眺望の他に山中の遺構、コクイ谷の遡上など変化に富むコースを楽しむことができました。

 武平トンネルから沢谷峠までのトラバースは、山行当時、崩落箇所や作業道の分岐などがありました。またコクイ谷の遡上も一部踏み跡が不明瞭な箇所がありました。道迷いに注意が必要ですので、初心者だけでの山行はおすすめしません。

 地図読みやルートファインディングなどの大切さ、面白さを感じた山行でした。

参考

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