はじめに
今回は山好きのみなさんの間では槍ヶ岳と人気を二分する白馬岳を、1泊2日で歩いたときの記録です。
最高のサンセットが見られた思い出の山行です!
基本情報
白馬岳は、富山と長野を南北に隔てる後立山連峰の北部に位置します。
登山を趣味としている人の間では「ハクバ」や「しろうま」などと呼ばれ、深田久弥が自著『日本百名山』で選んだ名峰の一つでもあります。山名の由来は、初夏に山中の稜線付近に「代馬(代かき馬)」の雪形が現れるところからだそうです。
基本情報は以下のとおりです。
- 日程:2021年9月19日〜20日
- 山域:北アルプス、後立山連峰(富山県、長野県)
- 主な山頂:白馬岳(2,932.3m)、丸山(2,768m)、小蓮華山(2,763.4)、白馬乗鞍岳(2,456m)
- 体力:★★★☆☆
- 技術:★★★★☆
- 展望:★★★★★
- コースタイム:18:13
- 距離:16.2km
- 高低差:登り 1,887m / 下り1,315m
- 最寄り駅:JR大糸線 白馬駅
- 最寄りIC:安曇野IC
- 駐車場:白馬八方尾根スキー場の周辺に6ヶ所、合計1,100台収容可能な無料駐車場有り。
コース概要
白馬岳への主な登山口は次のとおりです。
- 猿倉
- 栂池
- 蓮華温泉
- 祖母谷温泉
この内、よく使われているのは、猿倉と栂池です。
白馬村のホームページには登山モデルコースが掲載されています。
今回はこれを参考に、猿倉から白馬大雪渓を登り詰めて白馬岳に登頂し、展望の良い尾根を下り白馬大池を経由して栂池へ降りる縦走コースをとることにしました。
1日目
大雪渓で写真を撮ったり休んだりと時間をかけたため、ゆっくり目なペースです。
行程 | 7:32猿倉荘→60分→8:32白馬尻小屋→203分→12:29岩室跡→37分→13:42避難小屋→101分→16:10白馬頂上宿舎 |
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コースタイム | 行動6:44 / 休憩1:53 / 合計8:37 |
距離 | 約5.7km |
高低差 | m |
2日目
行程 | 白馬頂上山荘→30分→丸山→57分→白馬山荘→47分→白馬岳→51分→三国境→75分→小蓮華山→34分→船越ノ頭→40分→白馬大池山荘→32分→乗鞍岳→40分→風吹大池方面分岐→9分→天狗原→45分→栂池山荘→7分→栂池ヒュッテ→6分→栂池パノラマウェイ自然園駅 |
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コースタイム | 行動7:53 / 休憩1:16 / 合計9:09 |
距離 | 約10.5km |
高低差 | m |
アクセス
八方スキー場のこちらのアクセス案内が参考になります。
今回は八方第2駐車場にマイカーを停め、至近の八方バスターミナルからバスで登山口の猿倉へ向かいました。下山時は、ロープウェイの栂池公園駅からバスで八方バスターミナルへ戻る計画でした。
ただし、帰りはバスのタイミングが合わず、タクシーで戻りました。
公共交通
登山口の猿倉、栂池へは長野駅や白馬駅、八方バスターミナルからバスが運行しています。
猿倉へはJR白馬駅から所要27分で1000円、八方バスターミナルからは22分で930円です(執筆時)。最新の情報はアルピコ交通 猿倉線をご覧ください。
猿倉登山口に置かれていたタクシー料金の看板によると、白馬までタクシーで4,000円ほどとのことですので、4人で乗り合わせればバスと同程度の料金で便利に使えるかもしれません。
また、栂池自然園からへはロープウェイがあります。つがいけロープウェイのサイトをご覧ください。
マイカー
白馬八方尾根スキー場の周辺に無料駐車場が6ヶ所あり、合計1,100台が収容可能です。さすが山岳リゾート地というべき器の大きさ。最も混み合うスキーシーズンに対応していますので、夏山シーズンならどこかの駐車場には停められるでしょう。
駐車場の空車情報などが八方尾根スキー場のHPでご覧になれます。
今回は八方第2駐車場を利用します。駐車場の至近に八方バスターミナルがあり、登山口の猿倉へ向かうバスが運行しており便利だからです。また、八方の湯という温泉施設の駐車場にもなっており、下山後に汗を流すこともできます。
八方第2駐車場の情報は以下の通り。
- 収容台数:約70台
- 料金:無料
- 施設:トイレ、入浴施設(八方の湯)
- マイカー:長野自動車道 安曇野ICより国道148号線で約1時間10分、北陸自動車道 糸魚川ICより国道148号線で約1時間20分
- 公共交通機関:八方バスターミナル
山行記録
八方バスターミナルから猿倉登山口へ
前日の20:30頃に関西の自宅を出発し、0:00頃に駒ヶ根SAで休憩、八方第2駐車場へ2:25に到着です。
バス乗り場を確認しに辺りを歩きます。バスターミナルに隣接してmont-bellがありました。便利です。
この日は車中泊。エアーマットレスを持ち込みましたがなかなか眠れません…!
これまで色々な山で一期一会する諸先輩方から「ハクバはいいよ〜」「また白馬山荘でケーキ食べたいわ」などと幾度も聞かされ、今やハクバと聞くとよだれを垂らしそうなほど条件付けされている私。
まるで憧れのあの人とのデート前、推しのアイドルの公演に行く前のファンのような心境です。
眠い目をこすりつつ起床し、朝食を食べます。八方バスターミナルを6:50発のバスに乗り、猿倉に7:10に着きました。
猿倉から白馬尻小屋へ
猿倉荘には登山相談所が有りますので、そこで登山届けを提出します。案内人の方がルートの状況などを教えてくれますので、最新の情報を入手していきましょう。
猿倉から白馬尻小屋までは主にブナやトチの樹林帯を歩きます。
はじめは林道歩きでゆるい上りなので、ウォーミングアップにちょうどよいです。
見上げると樹々の葉の間から青空が覗きます。ガスが出たり晴れたりして、谷の向かいの山肌が見え隠れを繰り返しています。少し湿った空気が体を包みますが、標高が高いためか涼やかです。北アルプスに来たと実感します。
沢にかかる木道を渡り、御殿場を超えると道が細くなり登山道らしくなってきます。頭上には青空が広がります。
「やった!お天道さまありがとう」という喜びもつか間、すぐに額や背中が汗ばんできます。高山といえども日差しの下では暑い暑い。
汗を拭きふき歩を進めると、急に目の前に大岩が飛び込みます。
白馬大雪渓を登る
「おつかれさん!ようこそ大雪渓へ」と石が全身全霊で労ってくれます。石をよく見るとてっぺんが尖っていてちょっと白馬岳のようです。心にくい石です。
8:32、白馬尻小屋に到着です。訪れた時期には小屋は解体されていました。沢山の人がここで休憩しています。軽アイゼンを使いやすいところに移動させておきます。
おやつに月見団子を食べながら、これから登る方角を確かめます。登山装備を持たない人はここがゴール。登山の人はここからが本番です。
さあ、ここから日本三大雪渓のひとつ白馬大雪渓の上を歩く本日のハイライトです。
谷間には秋の入り口にも関わらず雪が残っています。
「これが噂さに聞く大雪渓!」と感動もひとしおです。しかし、地元に住む方によると、この時期にはもうかなり雪が減っているとのこと。これで少ない方とは驚きです。
雪渓を安全に登るためのポイントは
『日本百名山登山地図帳 上』JTBパブリッシング、2016年、p.100
- 赤い印に沿って登る
- 盛夏は雪渓表面に凸凹ができ、その凹部に靴を乗せて進む
- 雪渓上部は落石が起きるため、絶えず前方に注意を払って登る
だそうです。
この日は雪が締まっていたので軽アイゼンなしでも歩けましたが、軽アイゼンをつけるとグリップが良くなり歩きやすくなりました。
また、ベテラン登山者のおじさまによると、雪渓の上を転がる落石は音がしにくいそうです。特にシャーという音がしたら、岩が雪面を滑り落ちてきているかもしれないので要注意。耳を澄まし、岩肌を目で確認しながら歩きましょう。
昼を過ぎると谷の方から雲が湧き上がってきます。
夏場に大きな荷物を背負っての運動なので歩いている時にはかなり汗をかくのですが、立ち止まると谷を吹き抜ける風は涼しく熱を帯びた体を冷ましてくれます。まるで温冷浴のよう。
13:43、石室の避難小屋に到着です。「筋肉痛にこれ(ツムラの芍薬葛根湯の68を)使ってるんだ」など、一緒になった登山者の方とのおしゃべりに花が咲き14:20まで休憩。
南側に杓子岳の鋭鋒が迫ってきたら、頂上宿舎も近いです。
村営白馬岳頂上宿舎でテント泊
16:00に村営白馬岳頂上宿舎に到着です。登山としては遅めのチェックインとなってしまいました。
村営白馬岳頂上宿舎の情報は以下のとおりです。
- 所在地:長野県北安曇野郡白馬村 標高2,730m 猿倉から約6時間
- 営業時期:6月24日~10月9日(2023年度)
- サービス:外来食堂、お土産売店、ポスト、昭和大学医学部診療所
- 小屋泊:要予約 小屋泊(1泊2食付き15,000円)
- テント泊:100張り(当時は2,500円でしたが、執筆時は3,000円になっているようです)
- 問い合わせ:0261-75-3788
最新情報はHPや電話でご確認を。
受付兼レストランでは、天気予報も確認できます。今夜は霧雨、明日は朝から晴れのようです。
テント場も賑わっています。近くでビールでの乾杯から焼肉パーティーが始まりました。仲間と絶景を分かち合いながら、美味しいものを食べるなんて至高じゃないですか〜!
絶景!稜線のマジックアワー
テント場から至近の稜線に登り夕日を眺めます。
互いに写真を撮り合う人たち、マグカップで飲み物を飲みながら語らう人たち、いろんな過ごし方があります。私はぼーっと眺める人です。
富山県側には雲海が広がり、山並みが海に浮かぶ島のようです。誰が雲海という言葉を産んだのかは知りませんが言い得て妙ですね。
南西の方角に見えるあのトンガリは劔岳でしょう。遠く槍ヶ岳も見えます。
山に登るようになって、はじめて雲海を見たのは高校時代の太郎平から折立への道中だったと思います。その時に心が動いた感覚は身体に染み込んでるのでしょう。
こんな景色を見せてくれるから、このワクワクを味わわせてせてくれるから、山にまた来てしまうんですね。
圧倒的な自然の景色の中にいると、言葉にならないような心持ちになります。
他の登山者にならって丸山の上で日没を待ちました。
日が落ちるとテント場が輝いています。
私の語彙力では「うわ〜!!!」と感嘆符に頼るしかありません。
ぜひ足を運んで体感してみてくださいね!
2日目に続きます。
参考
- 『日本百名山登山地図帳 上』JTBパブリッシング、2016年。
- 「登山モデルコース」白馬村、https://www.vill.hakuba.nagano.jp/green/tozan_trekking/model_access.html(最終閲覧日:2023年7月15日)
- 「駐車場案内」白馬八方尾根スキー場、https://www.happo-one.jp/access/parking/(最終閲覧日:2023年7月15日)
- 「白馬岳だより」白馬館、https://www.hakuba-sanso.co.jp/yamagoya/hakubasanso.html(最終閲覧日:2023年7月15日)
- 「白馬岳頂上宿舎」白馬村営小屋、https://yamagoya.hakubakousha.com(最終閲覧日:2023年7月15日)
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