はじめに
登山初心者の友人の「きれいな山に行きたい」という声にお応えし、選んだのは北アルプスの乗鞍岳!
岐阜と長野の県境にある乗鞍岳は、バスで標高2,702mまで登れ、お手軽に高山の景色を味わえます。中央アルプスの木曽駒ヶ岳と並んで初めてアルプス登山におすすめしたい山です。絶景ポイントを実際に登った時の写真を交えてご紹介します。
基本情報
まずは乗鞍岳についてご紹介。
乗鞍岳は、北アルプス(飛騨山脈)の南端に位置し、剣ヶ峰(3,026m)を最高峰とする山々の総称で、23の峰と7つの湖、8つの平原があり高山市と松本市をまたがるように裾野が広がっています。飛騨(高山市側)からの眺めが馬の背に鞍を乗せた姿に見えることから「乗鞍」と呼ばれ親しまれています。
濃飛バス「平湯温泉・ほおのき平から乗鞍岳へ」
基本情報は以下のとおりです。
- 日程:2022年7月24日(日)
- 山域:北アルプス(岐阜県、長野県)
- 主峰:剣ヶ峰(3,026m)
- 体力:★☆☆☆☆
- 技術:★★☆☆☆
- 展望:★★★★★
- コースタイム:2:40
- 距離:6.3km
- 高低差:登り 384m / 下り381m
- 最寄り駅:JR高山駅から
- 最寄りIC:中部縦貫道高山IC、長野道松本IC
- 駐車場:ほおのき平駐車場 収容台数は約1,500台 料金は無料
コース概要
今回は、畳平から剣ヶ峰の山頂を往復するコースです。
行程 | 畳平→35分→肩ノ小屋→50分→剣ヶ峰→40分→肩ノ小屋→35分→畳平 |
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コースタイム | 2:40 |
距離 | 約6.3km |
高低差 | 326m |
アクセス
乗鞍岳の登山口のある畳平は標高2,702mで、バス、タクシー、自転車で訪れることのできる日本最高所の場所とされています。マイカーの乗り入れは禁じられていますのでシャトルバスに乗り換えが必要です。
麓から畳平への山岳道路は、岐阜県側を乗鞍スカイライン、長野県側を乗鞍エコーラインと呼び、それぞれシャトルバスの発着地や開通時期などが異なります。(2023年2月時点)
乗鞍スカイライン | 乗鞍エコーライン | |
---|---|---|
開通時期 | 5/15~10/31 | 7/1~10/31 |
バス発着地 | ほおのき平駐車場,平湯温泉バスターミナル | 松本市乗鞍観光センター |
料金 | 大人:2,500円 小人:1,250円 | 大人:3,300円 小人:1,650円 |
駐車場 | 約1500台(無料) | 約200台(無料) |
運行会社 | 濃飛バス | アルピコ交通 |
今回は、ほおのき平駐車場から乗鞍スカイラインを通って畳平へ向かいます。
ほおのき平駐車場の情報は以下の通りです。
- 収容台数:約1500台
- 料金:無料
- 施設:トイレ、入浴施設(ジョイフル朴の木)
- マイカー:中部縦貫道高山ICより約40分、または長野道松本ICより約1時間20分
- 公共交通機関:JR高山駅前の高山濃飛バスセンターより「濃飛バス 平湯温泉行」に乗車し「ほおのき平」で下車
山行記録
ほおの木平からシャトルバスに乗車
バスは10:05にほおの木平を出発しました。1時間ほどで標高1,000mを登ると、車窓には高山の景色が広がります。これからこの景色の中へ飛び込むと思うと気持ちが高まります。アクセスのワクワク感とお手軽さも日本最高クラスじゃないかと思います。
畳平から富士見岳へ
10:55に畳平バスターミナルに到着です。バスで2,700mまでやってくるので、下車した途端に高山の景色が広がります。
広い駐車場と赤い屋根の山小屋風の建物、公衆トイレなどがあります。ロードバイクに乗ったサイクリストの姿も多く見えます。
実は、私も学生の頃に自転車で訪れたことがあります。そのときのスカイラインは雲の中で景色は何も見えず、「これは修行!いや苦行」と零しながら、駐車場につくやいなや早々に退散した記憶があります。あのときは辛かった…。
今日は当時とは打って変わって晴天。同じ山でも天候次第で印象が随分違います。今日は、思い出を上書きに行こうと思います。
トイレを済ませ登山届を書いて11:30に出発です。
ここから、剣ヶ峰へまでのルートは、お花畑を通るコースと富士見岳を経由するコース、富士見岳を巻くコースの3つがあります。今回は往路は富士見岳経由、復路は巻道を取ります。
鶴ヶ池を左手に緩やかな斜面を登っていると、砂礫地に色とりどりの高山植物が咲いています。燕岳でもコマクサを目にしましたが、乗鞍岳ほどのコマクサの群落は初めてみました。ちょうどよい季節に来たようで、ついつい立ち止まり写真を撮るのでなかなか進めません。
ガラガラした斜面を登っていきます。振り返ると鶴ヶ池。
12:00に富士見岳に到着です。
不消ヶ池には夏でも雪が浮かんでいます。高山ならではの景色にときめきます。
スタートから30分でこの景色。素晴らしい!
肩の小屋
富士見岳から降りて車両も通れる幅の道に合流し、摩利支天岳を東に巻きながらしばらく進むと肩の小屋に到着です。時刻はちょうど13:00です。
公衆トイレや売店、食堂があるので、ここで剣ヶ峰に向けて最後の休憩をします。
小屋付近の斜面にもお花畑が広がっており、私が訪れたときにはハイマツと高山植物の間に雷鳥の姿がみえました。前回訪問時の借りを返すかのごとく今日はついています。
剣ヶ峰へアタック
13:20に肩の小屋を出発。
登山道はガレた岩の斜面となり山頂に続きます。この日は登山者も多く、途中で抜きつ抜かれつとなりました。すれ違いの際には基本的に登りが優先で、立ち止まる人は滑落を防ぐために斜面側に避けます。そんなうんちくをつい話してしまうのが元山岳部員の癖です。
振り返ると肩の小屋の隣に赤い屋根の建物が見えます。地図を見ると東京大学の乗鞍観測所だそうです。また摩利支天岳の頂上の白いドームは自然科学研究機構の乗鞍観測所だそうです。
14:12、朝日岳近くの火口壁に立ちます。火口に権現池を見下ろすことができます。
乗鞍岳頂上小屋を過ぎると、剣ヶ峰は目の前です。
14:50に標高3,026mの剣ヶ峰に登頂。
頂上には乗鞍本宮があります。
絶景を拝めたこと感謝し安全登山を祈り、鳥居や権現池をバックに一通り写真を取り終えて、山頂を辞すことに。
最終バス前の16:40に畳平へ到着した頃には、周囲が雲に覆われていました。高山の天気は気まぐれですが、滅多にお目にかかれない景色だからこそ、見られたときの喜びもひとしおなのだと、うっすらと悟ったような心もちになりました。合掌。
おわりに
乗鞍岳は、例えるなら「ショートケーキのいちごと先端」「モンブランのてっぺんと栗」のような、美味しいとこ取りのお山でした。
2,000m級の山のない西日本在住の身としては「近所にこんな山があったらなぁ!」と思わずにはいられません。
雪渓、高山湖、咲き乱れる高山植物など、手軽に美しい山岳景観を満喫できる乗鞍岳は、初心者から山好きの人まで満足できるお山ではないでしょうか。
私としては北アルプス入門のベストコースです。信州や飛騨旅行のついでに訪れてみるのもおすすめです。
費用
シャトルバス | 2,500円 |
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日帰り入浴(ジョイフル朴の木) | 600円 |
ガソリン代 | 11,000円 |
高速道路料金 | 11,820円 |
合計 | 25,920円 |
持ち物
日帰り登山の基本的な装備品を持っていきましょう。特に標高が高く夏でも天候が崩れると寒いと感じることがあるため、畳める薄手のフリースやダウンジャケット、レインウェアは必須です。また森林限界を超え日光を遮るものがないので、帽子や日焼け止めなども準備しておくとよいでしょう。
参考
- 『山と高原地図39 乗鞍高原 北アルプス』昭文社、2019年
- 「乗鞍岳・乗鞍岳スカイライン」乗鞍岳観光協会、https://norikuradake.jp
- 「乗鞍エコーライン」新穂高温泉観光協会、https://shinhotaka.com/a-spot/888/
- 濃飛バス、https://www.nouhibus.co.jp/route_bus/norikura-line/
- 「乗鞍高原~乗鞍畳平シャトルバス」アルピコ交通、https://www.alpico.co.jp/traffic/local/kamikochi/echoline/
- 「ほおのき平駐車場」YamaReco、https://www.yamareco.com/modules/yamainfo/ptinfo.php?ptid=50788
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