8月の北アルプス 燕岳・大天井岳・常念岳を縦走登山 1日目

山行

はじめに

 今回はアルプス入門の山としておすすめされることの多い燕岳つばくろだけと、その先の大天井岳おてんしょうだけ常念岳じょうねんだけといった名峰を縦走するコースをご案内します。

基本情報

  • 日程:2018年8月17日〜20日
  • 山域:北アルプス(長野県安曇野あずみの市、大町市、松本市)
  • 山名:燕岳(2,763m)、大天井岳(2,922m)、常念岳(2,857m)
  • 体力:★★★★☆
  • 技術:★★★☆☆
  • 展望:★★★★★
  • コースタイム:約16:20(中房なかぶさ温泉から三座を縦走し一ノ沢へ下山)
  • 距離:約21.5km
  • 最寄り駅:JR大糸線 穂高駅
  • 最寄りIC:安曇野IC
  • 駐車場:穂高駐車場(150台)、安曇野の里 田淵行男記念館(7台)、温泉公園北口・花水木会館(80台)、有明山神社(70台)

コース概要

「ルートマップ」燕山荘ホームページより

1日目

 中房温泉の燕岳登山口を出発し、合戦尾根を登って燕山荘に至ります。合戦尾根の登山道は樹林の急な坂道です。要所にベンチが設けられていますので、適宜休憩を取りながら標高を稼ぎましょう。合戦小屋では名物のスイカで喉を潤すことができます。

 稜線の燕山荘えんざんそうから、日本二百名山の燕岳を往復します。燕岳では花崗岩の奇岩やコマクサの群生が目を楽しませてくれます。

 距離は5.4km、コースタイムは5:35です。

2日目

 燕山荘から大天井岳を経て常念乗越にある常念小屋まで向かいます。この日は全区間が稜線歩きです。中でも燕岳から大天井岳までの稜線は、表銀座と呼ばれる人気の縦走路を歩きます。槍ヶ岳、穂高連峰を眺めながらの天空散歩を満喫しましょう。

 距離は9.2km 、コースタイムは6:05です。

3日目

 常念小屋から常念岳を往復し、一ノ沢へ下山します。常念岳の山頂からは、蝶ヶ岳、穂高連峰、上高地などが名だたる名峰が一望できます。

 一ノ沢の登山道は常念岳への最短コースだけに急傾斜こそありますが危険箇所は少ないです。ただし、沢沿いの道ですので増水時は避けましょう。

 距離は6.9km、コースタイムは5:50です。

アクセス

 安曇野市内には登山者用駐車場、登山口への乗合バスやタクシーが充実しています。

 今回はスタートとゴールの異なる縦走ですので、スタート地点の中房温泉、ゴール地点の一ノ沢へのアクセス情報をご案内します。

公共交通

中房温泉

中房線乗合バス

 鉄道の玄関口は、JR大糸線の穂高駅です。鉄道や高速バスで松本に乗り入れ、そこから鉄道で約30分ほどで穂高駅です。

 登山口の中房温泉へは安曇野市内からバスが運行しています。穂高駅からの料金は執筆時で1,800円です。

 南安タクシーのホームページに中房温泉へのバスの情報がまとめられていますので、山行前にご確認ください。

一ノ沢

 ゴール地点の一ノ沢へのバス路線はありませんが、以下のタクシー会社で配車を依頼できます。一ノ沢登山口から安曇野市内までの所要時間と料金は以下の通りです。

 タクシーの配車は、山小屋か稜線の携帯電話の電波が届く場所から依頼しましょう。沢筋の登山道や一ノ沢登山口は、携帯電話の圏外です。

マイカー

 中房温泉一ノ沢付近には共に駐車場があります。マイカー1台の場合は、下山先(または登山口)に停車しタクシーで中房温泉(または一ノ沢)に向かう方法が考えられます。

 ただしハイシーズンには、登山口の駐車場が混み合い路上駐車による事故の危険があるため、バスの利用が呼びかけられています

 安曇野市内には中房温泉へのバスの停留所と隣接した登山者用の駐車場が数カ所開設されています。マイカーの方は安曇野市内に車を停めてバスに乗り換えるのが良いでしょう

 今回、友人と車でアクセスした私はもこの方法を採ることにし、安曇野の里に隣接した田淵行男記念館の登山者専用駐車場に停めました。

 南安タクシーのホームページに中房温泉へのバスと周辺の登山者用駐車場の情報がまとめられており便利です。

 一ノ沢へ下山した際には、タクシーで市内の登山者用駐車場に戻ることができます。

 タクシーの配車は、山小屋か稜線の携帯電話の電波が届く場所から依頼しましょう。沢筋の登山道や一ノ沢登山口は、携帯電話の圏外です。

山行記録

 実際の山行記録は以下のとおりです。参考程度にとどめてください。

中房温泉から合戦小屋

安曇野市内から乗合バスで中房温泉へ

 友人のマイカーで安曇野の里に着いたのは7:17でした。天気は晴れ。車を登山者用駐車場に停め、7:40発の中房温泉行きの乗合バスに乗車します。1時間15分ほど揺られ、スタート地点の中房温泉へ8:55に到着しました。

 トイレを済ませ、9:10に出発です。合戦小屋にむけて樹林帯を登ります。樹林歩きは景色が見えにくいのであまり楽しみではなく修行のようですが、今日は日差しを遮ってくれる木々がありがたいです。

第1ベンチ

 燕岳は長野県の中学の学校登山の山としても親しまれているだけに整備が行き届いています。

 第1ベンチ、第2ベンチ、第3ベンチ、富士見ベンチと登りでは約50分ごとに木製のベンチと指導標のある休憩場所が設けられていました。疲れる前に小休止し補給することで、ペースが維持しやすくなり助かりました。

 木に巻かれた看板に励まされ、もうひとがんばりです。

合戦小屋から燕山荘

合戦小屋

 合戦小屋に12:07に到着しました。天気は晴れ。申し分ない登山日和のこの日、小屋は大勢の人で賑わっていました。

 友人が「合戦小屋といえばスイカが名物だよ」と教えてくれました。スイカ1切れ、800円でした。値段など気になりません。山で食べたスイカの思い出、プライスレスです。

 合戦小屋名物のスイカ

 合戦小屋の情報は以下のとおりです。

  • 所在地:長野県安曇野市穂高有明中房国有林内 標高2,350m
  • 営業時期:4月下旬〜11月下旬
  • サービス:昼食(昼食のうどん、松本市波田町下原のスイカが名物)、飲み物(コーヒー、ホットミルク、缶ビールなど)、売店(手ぬぐい、バッジなど)
  • 宿泊:小屋泊不可、テント5張り
  • 問い合わせ:090-1420-0008(合戦小屋には電話がないため燕山荘へ)
  • その他:カード利用不可

 12:50に合戦小屋を後にしました。合戦小屋を過ぎると樹高が徐々に低くなり、見晴らしの良い尾根に飛び出します。

 13:08、合戦沢の頭に至ります。ベンチがあり見晴らしも良いので、小屋が混んでいたらここで休憩してもよいかと思います。

燕岳荘にチェックイン

 稜線上の燕山荘に13:53に到着しました。丸太の壁、梁の意匠などが異国情緒を感じさせる建物です。

 小屋の玄関を背に北側へ目を向けると、正面に標高2,763mの燕岳があります。青空の下、濃い緑と白い花崗岩の山肌が映えます。そこに黄や赤などカラフルなテントが張り付いています。

 小屋前の広場にある方位盤で山座同定してみます。東には安曇野の町、西には水晶岳、鷲羽岳や三俣蓮華岳、そして南西へ視線を向ければ槍穂高連峰が見えました。ここは北アルプスの展望台です。

 テント場の前で、山には似つかわしくない装いのおふたりと出会いました。ひとりは純白のドレスを着た女性、もうひとりは銀色のスーツの男性です。

 聞けばおふたりの共通の趣味が登山で、結婚式の前撮りのためにご友人と3人で登って来たとのことでした。衣装は背負ってきたそう。感服しました。

 自然と周囲の登山者の間で拍手が起こりました。山が好きな人たち同士、その苦労を想像することが容易だからでしょうか。山の上では人々が互いを思いやる気持ちが強まるように思います。お幸せに!

 思わぬ出会いを喜んだ後、燕山荘にチェックインしました。

受付

 燕山荘の情報は以下のとおりです。

  • 所在地:長野県安曇野市穂高有明中房国有林内 燕岳 標高2,712m
  • 収容人数:約650人、テント約40張り
  • 料金:13,000円(1泊2食)、1,200円(弁当)
  • 営業時期:4月下旬〜11月下旬、年末年始営業は12月下旬〜1月初旬
  • 電話:090-1420-0008(20:30頃まで)

燕岳ピストン

 15:00、最低限の荷物をサブザックに詰めて燕岳の山頂へ向けて出発です。

 燕岳では侵食、風化した花崗岩の地質が独特の景観を形成しています。その形から、めがね岩イルカ岩などと呼ばれる岩もあります。

 足元に目をやれば高山の砂礫地を好むコマクサが咲いています。

 コマクサは高山植物の女王とも呼ばれます。花言葉は「誇り」「気高い心」そして「高嶺の花」だそうです。文字通り高山に咲く花です。

 この日は運良く一日中天候が崩れなかったので、夕景まで堪能できました。存分に写真を撮って18:40に戻りました。

明日に備えて21:00すぎに就寝しました。

8月の北アルプス 燕岳・大天井岳・常念岳を縦走登山 2日目」へ続きます!

参考

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