はじめに
8月のはじめに御嶽山に登った際のレポートです。コースや時間、費用などをまとめていますので、これから御嶽山に登りたいと考えている方のご参考になれば幸いです。
基本情報
御嶽山は、岐阜県と長野県の間に位置する標高3,067mの独立峰です。日本にある3,000m峰としては最も西に位置しています。御嶽山という山名は、主峰の剣ヶ峰、継母岳、継子岳、摩利支天山など複数の峰々の総称です。
- 日程:2020年8月9日(日)
- 山域:御嶽山(岐阜県下呂市、長野県木曽町、長野県王滝村)
- 山名:剣ヶ峰(3,067m)
- 体力:★★★☆☆
- 技術:★★☆☆☆
- 展望:★★★★☆
- コースタイム:約5:55(大滝口七合目から剣ヶ峰、二の池周りでを七合目へ下山)
- 距離:約7.9km
- 最寄り駅:御岳ロープウェイ飯森高原駅
- 最寄りIC:中央道伊那IC
- 駐車場:御岳ロープウェイ鹿ノ瀬駅(無料)
コース概要
以下の3つの登山口からのコースがよく登られています。
- 黒沢口:東面の御岳ロープウェイ飯森高原駅が起点。剣ヶ峰までの距離は3.8km。累積標高差966m。コースタイムは登り3:25、下り2:15。1785年に覚明行者により開かれた御嶽山で最古の登山道。
- 大滝口:南東面の田の原バス停が起点。剣ヶ峰までの距離は3.4km。累積標高差871m。コースタイムは登り3:15、下り2:00。山頂までの最短コース。御嶽講を組織した普寛上人により1792年に開かれた。
- 小坂口:西面の濁河温泉が起点。剣ヶ峰までの距離は6.4km。累積標高差1,422m。距離が長いので途中の御嶽五の池小屋で宿泊するのがおすすめ。
その他、旧営林署の巡視路として開かれた開田口、北面からの日和田口からのコースなどもあります。
この内、登山者が多いのは山頂までの最短で至る大滝口からの登山道ですが、2014年の噴火の被害により2020年時点では標高2,936mの大滝頂上までしか登れなくなっています。
今回は、山行時に剣ヶ峰までのコースの規制が解除されていた黒沢口の七合目から剣ヶ峰を往復します。
2014年9月の噴火によりコースの状況が変化していますので、山行時には必ず自治体などからの情報を参照してください。
黒沢口へのアクセス
公共交通
JR中央本線木曽福島駅で下車し、おんたけ交通バスで約1時間5分で御岳ロープウェイ鹿ノ瀬駅に着きます。御岳ロープウェイに揺られ約15分で登山口の飯森高原駅に到着です。
マイカー
御岳ロープウェイの鹿ノ瀬駅に無料の大型駐車場があります。鹿ノ瀬駅には、中央道伊那ICから国道361号、19号、県道20号などを経由し約60kmで至ります。
山行記録
実際の山行記録は以下のとおりです。参考程度にとどめてください。
行程 | 7:32 飯盛高原駅 7:38→8分→7:46 七合目 行場山荘→1時間3分→8:49 八合目 女人堂 9:00→1時間15分→10:15 石室山荘 10:32→13分→10:45 覚明堂 10:50→5分→10:55 黒沢十字路 11:00→22分→11:22 剣ヶ峰 11:46→36分→12:22 黒沢十字路 12:32→13分→12:45 二ノ池山荘 12:50→23分→13:13 覚明堂 13:20→10分→13:30 石室山荘→47分→14:18 八合目女人堂 14:35→31分→15:06 七合目行場山荘→14分→15:20 飯盛高原駅 |
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行動時間 | 7:00(山行)+0:46(休憩)=7:46 |
距離 | 約8.1km |
高低差 | 登り986m、降り989m |
7合目・御岳ロープウェイ鹿ノ瀬駅から八合目・女人堂
前日の夜に関西を車で出発し、4:15に御岳ロープウェイの鹿ノ瀬駅に到着しました。始発まで車内で仮眠します。
7:15のロープウェイに乗車し約15分で飯森高原駅に到着します。ここは標高2,150mで黒沢口からの登山道の7合目にあたります。展望デッキや高山植物園があり、観光で訪れるのもよさそうですね。
トイレも済ませていきましょう。
7:38、登山スタートです。駅から南東へ広い砂利道が伸びています。ロープウェイの運転時間を知らせる看板を過ぎ、登山道は樹林の中へ伸びてゆきます。
左手に中の湯から伸びる旧道との分岐を過ぎるとほどなく、七合目の行場山荘が見えます。
橋を渡り左手に百聞滝への分岐を見送ります。登山道は小さな涸れ谷を越えて、西へと樹林の中を登っていきます。このあたりにはコメツガやオオシラビソなどの針葉樹が多く生育しています。
樹高が低くなり視界が開けてくるとほどなく、八合目の女人堂に至ります。
八合目・女人堂から覚明堂
8:49、八合目にある女人堂に到着です。小屋の前のベンチで10分ほど休憩します。曇り空でしたが、ときどき雲の切れ間から御嶽山が姿をのぞかせます。景色が見えると元気が湧いてくるのはどうしてでしょう。
小屋のすぐ西側には多くの石像が立っています。ここは金剛堂とも呼ばれる霊場で、御嶽山への登拝を諸国の人々へ広めた尾張出身の覚明行者らの像や石碑がたくさん祀られています。
御嶽山は白山、立山、富士山などと並ぶ霊山で、開山は7世紀の初頭といわれます。中でも黒沢口からの登山道は、1785年に覚明行者が開いた御嶽山で最古の道と伝えられています。
女人堂から北東へ三ノ池道が伸びています。修験者は、山頂から賽の河原を経て三ノ池で御神水を汲み、下山にこの道を使うそうです。この度の山行時は2014年の噴火のため通行止めとなっていました。
標高およそ2,480mの女人堂を過ぎると、背の高い木は無くなり景色が開けます。明治不動を過ぎると眼下に開田高原や中央アルプスの山々も見えてきます。
しかし、この日は山頂から白い雲が垂れ込め生憎のお天気です。足元の小さな花々に励まされつつ登っていきます。
次第に斜面が急になり岩を積んだ階段のような道になります。10:15に石室山荘に到着です。
覚明堂から剣ヶ峰
九合目の道標を過ぎ、稜線直下の覚明堂を10:45に通過します。
小屋は閉鎖されていましたが、辺りにはたくさんの行者像が立っています。覚明堂は二ノ池の畔で入定された覚明行者が弟子らによって安置された場所だそうです。
覚明堂を背に鳥居をくぐると頂上はもうすぐです。
右手に二ノ池への分岐を過ぎるとすぐに十字路に出ます。右は二ノ池、左は大滝頂上へ通じています。
10:55、十字路を直進し一ノ池の外輪尾根につけられた道を登ります。右手に真新しいコンクリート製のシェルターと左手に修復中の小屋が見えてきます。11:22、剣ヶ峰直下の慰霊碑に到着です。
天候はいよいよ厳しく、風に小雨も混じってきたため一旦、シェルターで昼食を摂ることにします。冷えた体にカップ麺が染み渡ります。
最後の関門のような慰霊碑の脇の急な石段を一息に登り、11:43、剣ヶ峰の山頂に到着です。残念ながら山頂は雲の中で辺りは真っ白でした。しかし、達成感はひとしおです。
山頂付近には傾いた灯籠、割れた石碑など噴火の傷痕が生々しく残されていました。
二ノ池を経て黒沢口へ下山
11:50、剣ヶ峰を後にし12:20に十字路に戻ります。突然、霧が晴れ視界が開けて左手に凹地が見えました。二ノ池です。
天候がいまいちなのでまっすぐ下山しようと考えていましたが、せっかくなので二ノ池に寄っていくことにしました。
二ノ池へ下る道沿いにも石像があります。覚明行者が入定された地のようで、お参りされる方もいらっしゃいました。
湖畔の道を進みます。二ノ池の水位は浅く、地面の砂に靴が沈みます。左手には道標が埋もれています。噴火の威力を思い知ります。
二ノ池山荘に寄りました。
ニノ池分岐に戻る道中、再び霧が晴れて眼下の景色が飛び込んできました。青い空の下にどこまでも緑の山肌が広がっています。振り返ると日本最高所の湖といわれる三ノ池も見えました。
素晴らしい景色です。天気の良い日にあらためて訪れようと心に決めて帰路につきました。
費用
主に交通費です。
御岳ロープウェイ(往復) | 2,600円 |
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ガソリン代(往復) | 6,500円 |
高速道路料金(往復) | 9,880円 |
合計 | 18,980円 |
装備
基本的な日帰り登山の装備を持参しましょう。標高が高いため天候によっては体感温度が下がることもあります。
手持ちの温度計で気温を測ると飯盛高原駅で手持ちの温度計で20℃でしたが、山頂付近で雲の中に入ると10℃に下がりました。頂上のシェルターで昼ごはんを食べたときには、肌寒く感じレインウェアを着用しました。
レインウェアや防寒具は必携です。
おわりに
道中、慰霊のために登る方に出会いました。
山は私たちに多くの楽しみや喜びを与えてくれますが、災害や判断ミスにより命を落とすこともある危険と隣り合わせの場でもあります。そこへ赴き無事に帰ることは、もちろん自身の力によるところもありますが、自然環境が私たちを受け入れてくれているということも多分にあるのではないでしょうか。今回の山行ではそのことを改めて痛感しました。
先人たちが山を修業の場と選んだのも、人が森羅万象との繋がりにより生かされていることを強く感じる場だったからかもしれません。
御嶽山の噴火により亡くなられた方のご冥福とみなさまの登山の安全をお祈りいたします。
参考
- 山と高原地図「御嶽山 小秀岳・奥三界岳」昭文社、2019年。
- 竹地里加子編『日本百名山登山地図帳 下』JTBパブリッシング、2016年8月1日。
- 御岳ロープウェイ https://asumo-g.co.jp/ontakerope/
- ニノ池山荘 http://ninoike2905.com
- 石室山荘 http://www.ontake-ishimuro.com
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