はじめに
沖縄といえば「ちゅらうみ」とよばれる美しい海が魅力ですね!しかし、急な出張や卒業旅行などでオフシーズンに行く人もいるかもしれません。
海水浴にまだ早いけれど沖縄の自然を味わいしたいというあなた、沖縄で山登りはどうでしょう?
シークヮーサーや芋の茂る森を歩き洞穴をくぐると、気分は亜熱帯のジャングルを行く探検家。本州の山とは一味違うトレッキングが楽しめますよ。
今回ご紹介するのは、沖縄県名護市に位置する嘉津宇岳、安和岳、三角山です。古い石灰岩からなる山で県の天然記念物に指定されています。いずれの山頂からも素晴らしい名護湾の眺めが望めます。
ぜひ、「ちゅらうみ」を眺めに沖縄の山に登ってみませんか。
基本情報
- 日程:3月15日(日帰り)
- 山域:沖縄本島名護市
- 山名:三角山(340m)、安和岳(432m)、嘉津宇岳(452m)
- 体力:★★☆☆☆
- 技術:★★★☆☆
- 展望:★★★★☆
- コースタイム:3:04
- 距離:6.3km
- 最寄り駅:勝山入口(沖縄バス)
- 最寄りIC:沖縄自動車道 許田IC
- 駐車場:展望駐車場(無料)、勝山公民館(無料)
コース概要
嘉津宇岳への主なコースは、以下のとおりです。
- 嘉津宇岳駐車場から嘉津宇岳の山頂を往復するコース:片道1時間弱でお手軽
- 勝山公民館を起点に三角山、安和(あわ)岳、古巣(ふるし)岳、嘉津宇(かつう)岳を縦走・周回するコース:山歩きが好きな人向け
お手軽なのは、嘉津宇岳駐車場から山頂を往復するコースです。片道1時間弱の行程です。山頂付近に岩場がありますが、一本道なので迷いにくく要所に階段が整備されているので、初心者の方にも挑戦しやすいでしょう。山頂には地元の保育園の子どもたちが登ったことを示す旗もありました。
もう少し山歩きを楽しみたいという方は、今回ご紹介する勝山公民館から三角山、安和岳、嘉津宇岳を縦走するコースをどうぞ。
亜熱帯の植物やガマと呼ばれる洞穴、山頂から見える名護湾の景色など見どころの多いコースです。ただし、下草が生い茂り登山道がわかりにくい所もあるので、登山経験と地図読みの技術が必要です。
YAMAPのコース情報は以下のとおりです。
行程 | 勝山公民館↔0:10↔タンク前登山口→0:15→第1分岐点→0:30→三角山→0:20→安和岳→0:20→奥沢分岐(第2分岐点)→0:35→嘉津宇岳→0:20→展望駐車場→0:35→勝山公民館 |
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行動時間 | 3:04 |
距離 | 6.3km |
実際に歩いたコース情報は以下のとおりです。
行程 | 勝山公民館 10:15→0:15→10:30 タンク前登山口 10:35→0:15→10:50 第1分岐点 11:00→0:05→11:05 ガマ 11:12→0:23→11:35 三角山 11:45→0:33→11:18 安和岳 12:22→0:33→12:55 奥沢分岐(第2分岐点) 12:58 →0:44→13:42 古巣岳への分岐 13:42→0:03→13:45 嘉津宇岳 14:48→0:17→15:05 展望駐車場 |
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行動時間 | 3:08 |
休憩時間 | 1:42 |
距離 | 4.1km |
アクセス
マイカー(レンタカー)
飛行機でお越しの方は、那覇空港から名護市街までは約85km、車で1時間半です。沖縄自動車道で許田ICで下車し、国道58号線・県道71号線を北上します。
付近の駐車場は、
- 展望駐車場(嘉津宇岳駐車場)
- 勝山公民館の駐車スペース
などがあります。
嘉津宇岳駐車場は、数十台が停められる広さとトイレ、東屋のある駐車場です。
勝山公民館の駐車スペースは数台分と狭く、地元の方が利用されるため迷惑とならないようにしましょう。
公共交通
バスでのアクセスの方法は以下のとおりです。のりものNAVI Okinawaで乗換案内ができますので、実際に利用される際にご確認ください。
那覇空港 → 高速バス111番・名護バスターミナル行き(約2時間) → 名護バスターミナル → 沖縄バス/琉球バス本部半島右回り65番(約25分) → 勝山入口
「沖縄 安和岳・三角山」日本山岳会
ただし、バスでのアクセスは可能ですが乗り換えなど少し煩雑です。また最寄りのバス停である勝山入口から登山口まで2kmほど離れています。今回、私は勝山公民館から嘉津宇岳の駐車場までの片道コースでしたので、タクシーを利用しました。
山行記録
勝山公民館から三角山へ
10:15に勝山公民館からスタートします。
公民館の近くには公衆トイレがありますので済ませて行きましょう。
北側に伸びる車道を歩くと左手にこれからめざす三角山がみえてきます。
ヤギの飼育小屋を過ぎて、
道が大きく左手に曲がり川の流れが聞こえてくると、まもなく登山道の入口が見えてきます。
10:30、タンク前登山口に到着です。
北西に伸びる川に沿って登る未舗装の道を進みます。右手に広がる常緑の果樹はシークヮーサーです。
10分ほど歩くと「安和岳 三角山 古巣岳」と書かれた黄色い看板があります。この先から谷が狭まり道幅も登山道らしくなってきます。
森のあちこちに山芋のような葉が生えている光景を本州の山で見かけたことはありません。気分は亜熱帯のジャングルを歩く探検家です。
10:50、指導標のある三叉路、第一分岐点に至ります。左へ三角山、右へ古巣岳、直進すると第二分岐点と書かれています。三角山へ向けて斜面に取り付きます。
斜面を横切るように進んで行きます。根を垂らした木を見るとまるで映画「ターザン」の世界に迷い込んだような気持ちになります。
さらに5分ほど進むと斜面にポッカリと空いた洞穴があります。沖縄の言葉でガマと呼ばれます。
中に入ってみると、光が差し込むため意外と明るく中の様子がよく見えます。足元は乾いた砂利、頭上には木の根がぶら下がっています。洞穴は奥で上へ向きを変え、入口の数メートル上に別の出口があります。沖縄戦で人々が隠れたガマもこのような場所だったのでしょうか。
途中、斜面を下る踏み跡を見送り、11:35に三角山に到着です。
山頂のスペースは広くありませんが景色は抜群です。南に名護湾、西に羽地内海が見えます。
山名の書いた指導標の基に泡盛の瓶が置いてありました。ラベルには「美しき古里」とあります。どなたが持ってきたの分かりませんが、ここから見える景色を言い得て妙だなと感心しました。11:45、出発です。
安和山から奥沢分岐
北西に伸びる登山道を進みます。低木が茂る尾根道を進みます。足元は鋭い石灰岩が下草に埋もれています。
転んで怪我をしないように底の硬い靴、手袋を用意しましょう。
今回、私は旅行で訪れたのでウォーキング用の柔らかい底の靴しか持ち合わせていなかったのですが、靴底が柔らかいため歩きにくく穴があいたらどうしようと不安もありました。このルートを歩く場合は、少なくともトレッキング用の底の硬い靴で訪れるほうがよいでしょう。
12:18、安和岳に到着です。北側にアンテナ群の建つ八重岳、東側に古巣岳とこれから向かう嘉津宇岳を望みます。
12:22、安和岳を出発し、北側へ尾根伝いに奥沢分岐まで下ります。
途中、明瞭な踏み跡が左手の山腹へ伸びている箇所があります。踏み跡に従って進むと急斜面となり、地面が湿って柔らかいため木を掴まないと立っていられないような状態となります。「あれ?おかしい。このまま行くと進退窮まるかも」という思いがよぎります。引き返すと尾根道に沿った登山道がありました。
踏み跡だけを辿っていくと道を間違える恐れがあります。目の前の景色と地図を見比べて常に現在地を確認しすること、間違えたと思ったら引き返すことの大切さを再認識しました。
木々と石灰岩との織りなす彫刻作品を鑑賞し、12:55に奥沢分岐(第二分岐点)へ到着です。
いざ嘉津宇岳へ
奥沢分岐にて、地元に住んでいるおじさんと出会いました。嘉津宇岳までその方に案内していただきます。
これはアフリカマイマイっていう外来種だよ。
これは本州でいう猪垣(いのがき)。獣が人里に降りてこないようにするための石垣です。
夏にこのルートはダメです。暑すぎるし、植物が生い茂って道が見えなくなるから。
一人旅のとき、私は地元の方とお話をすることがしばしばあります。その土地のことを知り、記憶するためにも有効だと思うからです。
本やインターネットでも知識は得られますが、旅先で得た知識の方が忘れにくいように思います。実際に足を運び、現地の空気を吸い、対話することで五感が刺激されます。五感を通じて得る知識の方が身につくというのが私の体感です。
もっとも、出かけたり人のお話を聴くことそのものが楽しいというのもあります。
お話をしながら一歩ずつ進みます。なだらかな尾根伝いに徐々に高度を上げていき、奥沢分岐から30分ほどで森を抜けて視界の開けた尾根に出ます。地面は、鋭い石灰岩の隙間から山芋のような葉が生えています。転ばないように足場を確かめながら歩きます。13:42、古巣岳への分岐を見送ります。
13:45に嘉津宇岳の山頂に到着です。嘉津宇岳の頂上からの絶景をお供に遅めの昼食にします。
眼下に嘉津宇岳東山麓の駐車場があります。おじさんによると、駐車場には野ウサギがいるそうです。
古巣岳へ向かうというおじさんを見送り、14:48、私は駐車場へ向けて出発します。
山頂の北側を巻くように進み、斜面を下ると谷に降ります。谷沿いに広い山道を進みます。要所に階段も整備されています。
嘉津宇岳から駐車場までは整備された登山道です。15:05に駐車場に下山です。
駐車場にはトイレがあります。
おじさんの言葉どおり、人馴れした野ウサギもいました。
持ち物
無雪期の装備をご持参ください。以下の記事もご参考になれば幸いです。
おわりに
夏以外に沖縄を訪れる方、本州の山とは雰囲気の異なるトレッキングを楽しみたい方は足を運んでみてはいかがでしょう。
参考
- 「沖縄 安和岳・三角山」日本山岳会(最終閲覧日:2021年4月25日) http://www.jac.or.jp/oyako/f15/d50b010.html
- のりものNAVI Okinawa(最終閲覧日:2021年4月25日)https://www.busnavi-okinawa.com/top/
- 名護市ガイド(最終閲覧日:2021年4月29日)http://www.city.nago.okinawa.jp/municipal/2020100800049/file_contents/r.pdf
- 「嘉津宇岳・安和岳・三角山」YAMAP 最終更新:2021年3月2日(最終閲覧日:2021年4月29日)https://yamap.com/maps/9649
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