2月 長崎県対馬の山 洲藻白嶽に登山!

山行

はじめに

 長崎県は対馬の洲藻(すも)白嶽という山に登ってきました。

 標高は500mあまりと本州の山と比べれば高くはありませんが、山頂は岩場で周囲に遮るものもないため、360度の絶景が楽しめます。

 ちなみに「白嶽」と書いて「しらたけ」と発します。なんだかお鍋によく合いそうなお名前ですが、古くから信仰を集める由緒正しきお山です。

基本情報

  • 日程:2月24日(日帰り)
  • 山域:長崎県対馬市
  • 山名:洲藻白嶽(519m)
  • 体力:★☆☆☆☆
  • 技術:★★☆☆☆
  • 展望:★★★★☆
  • コースタイム:2:45
  • 距離:約4.4km
  • 最寄り駅:対馬空港、厳原港
  • 駐車場:登山口に駐車スペース(無料)、洲藻白嶽登山者用駐車場(無料)
  • 立ち寄り:対馬グランドホテル内 海望の湯温泉(1,000円)、真珠(たま)の湯温泉(600円)

コース概要

白嶽山頂への主な登山ルートは、以下のとおりです。

 今回は、対馬観光物産協会による観光パンフレット「対馬トレッキングガイドブック」にも紹介されている白嶽登山口から山頂を往復するコースを歩きます。

ヤマレコに掲載されている白嶽の登山記録でもこのコースを歩いている人が最も多く、一般的な行程と考えられます。また上のパンフレットには、白嶽はゆっくり歩けば小学生高学年でも登頂可能と紹介されています。旅行先でのハイキングにもってこいですね。

パンフレット掲載のコース情報は以下のとおりです。

行程 白嶽登山口 -1時間30分-白嶽 -1時間15分- 白嶽登山口
行動時間 2:45
距離 4.4km

実際に歩いたコース情報は以下のとおりです。

行程 白嶽登山口 -20分- オームの岩 -16分- 行者の岩屋 -17分- 鳥居分岐点 -30分- 白嶽山頂手前広場 -1分- 白嶽神社 -11分- 雄岳山頂 -2分- 白嶽神社 -3分- 白嶽山頂手前広場 -3分- 岩のテラス -1分- 白嶽山頂手前広場 -18分- 鳥居分岐点 -8分- 行者の岩屋 -9分- オームの岩 -14分- 白嶽登山口
行動時間 3:40
休憩時間 1:20
距離 3.7km

アクセス

公共交通

白嶽登山口までは、ガッツがあれば対馬交通の路線バスを乗り継ぎ、洲藻バス停からアクセスできます。

 厳原(いづはら)地区から対馬交通の「対馬やまねこ空港(鶏知宮前経由)」「赤島」「鶏知宮前」または「犬吠」行き路線バスに乗車し、鶏知宮前バス停で降車します。運賃570円です。

 続いて、鶏知宮前バス停から対馬交通の尾崎行き(尾崎線)路線バスに乗車し、洲藻バス停で降車します。運賃は280円です。

図 バス路線図
出典 対馬交通株式会社

 詳しい方法は「登山口ねっと!」にて紹介されています。

ただし、乗り継ぎや洲藻バス停から登山口までの徒歩移動が不便なため、車でのアクセスが現実的だと思います。私は厳原市街からタクシーを利用したところ片道4,020円でした。タクシーは白嶽登山口まで送ってくれました。

マイカー

 白嶽登山口まで、対馬空港から8.7km(車で約15分)、厳原港フェリーターミナルから16km(車で約35分)です。

 駐車場は、以下の場所にあります。

図 白嶽登山者トイレ・駐車場

 白嶽登山口の方が山頂に近いです。普通車なら登山口まで通れますが、白嶽登山者トイレ・駐車場から登山口の間は道が曲がりくねっており、登山口手前に浅い川の流れを渡る箇所、約100mほどの未舗装路があるため走行に注意してください。

白嶽登山口まで

 6:30に厳原の宿からタクシーで出発します。

国道382号線の十八銀行美津島出張所前の交差点(国道 382 号線と県道 24 号線の合流点)を西へ進みます。次に箕形・竹敷分岐点を箕形方向に直進し、洲藻・箕形分岐点を洲藻集落方面へ道なりに進みます。

図 白嶽登山者トイレ・駐車場から望む白嶽

6:50頃、白嶽登山者トイレ・駐車場に着きます。広い駐車場で大型バスも駐車できるそうです。ここが最後のトイレ休憩所です。

駐車場からこれから向かう白嶽の威容を眺めます。

登山口手前に川を渡る箇所があります。私が訪れたときの水位は3cmほどでしたが、降雨後などは水位が上がるかもしれません。

 7:00ちょうどに登山口に到着しました。白嶽登山口には乗用車が5台ほど停められるスペースがあります。ここに停められない場合は、白嶽登山者トイレ・駐車場まで戻る必要がありますので、心配な方は早めの到着を心がけましょう。

山行記録

白嶽登山口から鳥居分岐点まで

登山口には、滝と白嶽信仰の礼拝所の石像があります。

信仰の場でもあるのですね。

 登山口には竹製の杖も置いてあります。

 指導標はハングルでも表記されています。対馬の道路を走っていると、工事中の案内なども日本語とハングルが併記されていました。対馬が大陸に近い国境の島であることを感じます。

 靴紐を締め準備運動をしたら、7:25出発します。

登山道を進むと滝の上流の沢に出ます。

しばらくは沢沿いにゆるやかな道が続きます。杉の木立の中に巨石が点在する独特の景観を眺めながら進みます。

何度か沢を渡り進んでいくと道の右手の斜面に石組みとベンチの残骸らしきものがあります。炭焼き窯の跡を休憩スペースに再使用しているようです。

ベンチからほど近い右側斜面にひときわ大きな岩があります。ガイドマップによるとオームの岩と呼ばれているそうです。

オームと聞くと私は『風の谷のナウシカ』に登場し、物語に重要な役割を果たす巨大ダンゴムシの様な生き物、王蟲を思い出します。確かに岩の上には植物が茂りそんな雰囲気を醸し出していますね。7:45に通過します。

 水のない沢を渡渉すると傾斜がきつくなってきます。

この辺りからシイやカシなどの照葉樹の森へと植生が変わってゆきます。

白嶽周辺は日本と大陸の植生が共存する学術的にも貴重な場所で、洲藻白嶽原始林として国の天然記念物に指定されています。

8:00ちょうどに大きな岩が積み重なっている場所に到着します。行者の岩屋と呼ばれています。

 対馬には独自の天道(てんどう)信仰が残っています。太陽や山を崇拝する自然崇拝に端を発したものといわれます。Wikipediaによると、

太陽の光が女性の陰部に差し込んで孕み、子供を産むという太陽感精神話が伝えられ、母神と子神として祀るようになったという。母神を山麓に子神を山上に祀り、天神たる太陽を拝むことが多く、山は天道山として禁忌の聖地とされる。

「天道」Wikipedia

ものすごい設定です。

写真を撮ったり休憩したりして、8:30に出発します。

鳥居分岐点から白嶽山頂手前広場へ

8:47、石造りの鳥居が見えてきます。ここが鳥居分岐点です。

道を直進すると上見坂へ、鳥居をくぐって進むと白嶽の山頂に至ります。

山腹をジグザグに進み、標高を上げていきます。ところどころに岩のむき出しになった急斜面がありますが、ロープが張られるなど整備がなされています。足元を確認しながら注意して進みましょう。

いくつか祠を見送ると石垣が見えます。2つの灯籠の間を通り抜け9:20、白嶽山頂手前広場に着きます。

絶景の白嶽山頂へ

白嶽山頂手前広場です。ケルンが積まれた広場の奥に指導標、狛犬が守る祠があります。

靴紐を締め直し、9:30ごろ出発します。

白嶽山頂手前広場からはロープの張られた急斜面です。登り詰めると、左右に岩肌が迫った小さなキレット状の場所に出ます。前方の木々の向こうに海が見えます。

登ってきた斜面と反対側に下ると3つの石の祠があります。

祠には石仏が祀られており、日韓の硬貨が置かれています。白嶽には韓国からも登山に訪れる方があるようです。硬貨を置いていく習慣は万国共通なのでしょうか。

祠を跡にするといよいよ山頂直下の岩場です。三点確保でスリップしないよう注意しながら登りましょう。石英斑岩の露頭が目前に迫ります。踏み跡とロープに沿って、時計回りに岩を回り込みます。岩の凹凸を手足で捉えてよじ登り、9:55、山頂に到着します。

図 雄岳から北側の雌岳を望む

山頂からは360度のパノラマが楽しめます。一般ルートで山頂を踏めるのは標高519mの雄岳です。

北側には複雑に入り組んだリアス式海岸の浅茅(あそう)湾、

南側には白嶽から続く尾根に白い巨岩が点在しています。

絶景を堪能し10:40に下山開始です。

白嶽神社を経て岩のテラス

 10:44に祠の場所に戻りました。

 祠から雌岳の岩塊を時計回りに回り込むと程なく白嶽神社の鳥居が見えます。鳥居から先は禁足地である旨の看板があります。10:53に出発します。

 急坂を下り10:56に白嶽山頂手前広場に着きます。

 灯籠を通ると分岐があります。右に進むと登山口へ、左に進むと岩のテラスです。

図 頂上から岩のテラスを見下ろす

北東から南東に眺望がひらけており、上見坂の電波塔や洲藻の集落、対馬空港が見えます。

図 洲藻集落の向こうに対馬空港
図 上見坂方面

見上げると、先ほどまで居た雄岳の山頂が望めます。

図 岩のテラスから山頂を見上げる(左の小さく見える岩塊が雄岳の山頂)

山頂よりスペースも広いので、お昼ご飯などを摂るならここがよいでしょう。11:00から11:06まで休憩します。

11:07に白嶽山頂手前広場に戻ります。

下山

白嶽山頂手前広場からは、登りと同じルートを辿り下山します。

 11:27に鳥居分岐点、11:35に行者の岩屋を通過します。11:44オームの岩を通過し、12:00ちょうどに白嶽登山口に到着です。

おわりに

 洲藻白嶽の魅力は、何といっても抜群の山頂からの眺望です。白嶽山頂手前広場から上の岩場の急登は、ちょっとしたクライミング気分が味わえ登頂の達成感をより高めてくれます。また日本と大陸の動植物群、人々の信仰や生活を感じさせる歴史的な遺構も興味深くあります。

 ひとことでは表現できない奥深さを秘めた白嶽をあなたも訪れてみませんか。

持ち物

 無雪期の登山装備を持参しましょう。

 山頂は遮るもののない露頭なので、天候によっては強い風にさらされる可能性があります。風よけにも使えるレインウェア、岩場で怪我をしないようにグローブなどをお忘れなく。

費用

項目 費用
飛行機代(伊丹〜対馬往復) ¥32,720
タクシー代 ¥4,020
レンタカー代 ¥17,250
ガソリン代 ¥5,000
宿泊費(二泊朝食付) ¥9,500
外食費 ¥5,000
対馬観光クーポン ¥6,000
合計 ¥67,490

参考

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