「1月 北八ヶ岳を新春登山!天狗岳・茶臼山・縞枯山を2泊3日で縦走 1日目」の続きです。
コース概要
2日目は、黒百合ヒュッテから展望箇所のニュウを経由して白駒(しらこま)池へ向かいます。湖畔の宿にチェックインしたら高見石に登り、そこから氷結して雪原となった白駒池を見下ろします。
1日で樹林帯、展望箇所、水辺という3つのバリエーションを楽しめます。お得!
山行記録
にゅう?ニュー?にう?
本日の行程はニュウや高見石からの展望、氷結した白駒池の湖上ハイクなど見どころが多い!ところが先日とはうって変わっての曇天です。
ですので、2008年の夏に訪れた時の写真も添えてお送りします。
8:30に黒百合ヒュッテを出発し、前日にも通った中山峠を左(北)へ向かいます。
8:50頃、高見石とニュウへの分岐に至ります。
ニュウへ樹林に覆われた坂道を降ていきます。この日は雲の中で遠くの景色は見えないものの天気が良ければ、
南に天狗岳や硫黄岳、眼下に樹海が望めます。
9:40、ニュウに到着します。
ニュウは標高2351.9mの岩峰です。
あいにく雲の中ですが、一瞬の雲の切れ間から白駒池の姿が確認できました。ちなみに晴れたら下の写真のような景色が広がります。
自分の歩いてきた道筋をみると達成感があります。これから向かう場所が見通せるとやる気が湧いてきます。やはり、景色を眺めるのは山登りの醍醐味だなと思います。
したがって景色の見えないときの山登りは精神衛生上もよろしくないです。なんとかせねばと思い、私なりに「雨の日の登山の楽しみ」を編み出したところ、それなりにモチベーションを保てるようになりました。みなさんも悪天候時のモチベーションの保ち方をお持ちでしたら、ぜひご教示ください。
麓は晴れているようです。麓から見上げると、山の上の方(標高2,300mくらいより上)が雲に隠れているように見えているのかもしれません。
ところでニュウとは変わった名前ですね。しかも指導標の表記は「にゅう」「にう」「ニュウ」「ニュー」など様々です。
気になってニュウの語源について調べてみると、以下のように記されています。
山名は、刈り取り後の稲を円柱形や円錐形に積み上げる稲わらの「にう」が語源とされる
ヤマケイオンライン
稲わらでしたか。10:00頃、ニュウを後にし樹林帯を下ります。
白駒湿原にダイブ!
10:50頃、白駒湿原に至ります。
雪のあまり積もらない土地が出身の私には、一度やってみたいことがありました。「フカフカの雪へダイブ」です。
実際にしてみたところ、思いのほか固い雪面に背を打ち付け「うっ」となりました。事前にストックを挿して柔らかな雪の深さが30cm以上あることを確認しましたが、その下の雪は上に載った雪のために固くしまっているのですね。雪国以外にお住まいのみなさんも憧れダイブの際はくれぐれもご注意ください。
なお、夏場は湿原に立ち入ることはできません。湿地の上を歩くのもダイブも冬ならではのアクティビティですね。
まっしろ白駒池
11:10、白駒池の周遊路に出ます。
夏場はこのような水面も冬になると、真っ白な雪の野原となります。
しかも、歩けるのです!
水深の浅そうな岸辺にしゃがみ、湖面の氷をピッケルでガシガシと突いてみます。厚みも十分なようです。恐る恐る湖上に立ってみます。カチカチに氷結しています。これなら湖上をまっすぐ歩いて対岸の青苔荘へショートカットできそうです。
青苔荘へ向けて移動します。池の中心に近づくにつれて、風が強く吹き付けてきます。雪が吹き飛ばされて、氷が露出しているところもあります。
しかし、歩き出して池の中ほどまでやってくると、氷が軋む音がします。足元をよく見ると所々に氷が溶けかけている箇所があります。
「これは…ちょっとやばいんちゃう?」
青苔荘は目前ですが、最大水深8.6mの池に約18kgの装備を背負って落ちたら…。最悪の事態が頭をよぎります。
池の真ん中で立ち止まり周囲を見渡します。他の登山者は白駒荘へ向かっています。
「そっちは大丈夫そうですか」と尋ねるとOKとのこと。
白駒荘へ進路を変更します。耳を澄ませて軋む音に集中します。一歩先にストックを突き刺して、氷が緩んでいないかを確かめながら進みます。
白駒荘のボート乗り場からお邪魔します。
夏とは全く違う景色で驚きます。本当に。
ぜひ泊まりたい「白駒荘」
途中、ひやっとしましたが11:35、白駒荘に無事到着です。
友人は白駒荘に宿泊します。今シーズンの冬場は新館のみ営業しています。
一緒に昼食をいただきに新館の中を覗いてびっくり。新館はとても綺麗な施設です。
トイレはウォッシュレットを完備し、山小屋では珍しいお風呂もあります。
友人曰く、夕食はまるで旅館のようなお料理。
お部屋について、友人は大部屋に泊まったそうですが個室についても絶賛していました。
山小屋の個室は薄い壁一枚隔てただけの簡素な造りの所が多いのです。しかし、白駒荘は「ほんまのホテルみたいに鍵がかかるちゃんとした個室。めっちゃいい」と話していました。
改めて是非、泊まりに来たい山小屋です。
白駒荘の情報は以下の通り。
- トイレ:洋式(ウォッシュレット)、洗面あり。
- 入浴:18:00〜20:00。宿泊者のみ利用可。2〜3人が一緒に入れるほどの湯船。石鹸の使用不可。
- 電話番号:090-1549-0605(直通衛星電話)
- ホームページ:http://yachiho-montblanc.com
白駒池のテント場「青苔荘」
一旦、友人ふたりと別れて私は青苔荘へ向かいます。白駒池の湖畔のキャンプ指定地は青苔荘のみで白駒荘にはテントが張れないためです。
白駒池周辺はツガ、トウヒやシラビソなどの針葉樹がにょきにょき生えており、サンタさんが住んでいそうな雰囲気です。フィンランドは行ったこと無いですが。
白駒層から湖畔の遊歩道を歩いて10分ほどで青苔荘に到着です。
まず、小屋で手続きをします。ホームページに要予約とあったため事前に電話したところ、小屋番さんに「できるだけ早めに着いてください。11時頃。帰っちゃうから」と言われていました。居てくださって一安心です。
次に、テントを設営しましょう。樹林帯の斜面にロープが張られており、その内側にテントを張るように言われました。森の中のテント場なので風をしのげそうです。
テント泊の費用はトイレ使用料100円を含み1泊1,000円。小屋番さんより「板のところに張ったら追加で500円だけど。昨日、泊まった人の所(雪上)が平らになってるからそこに張ったらいいよ」とのこと。お言葉に甘えて1,000円で泊めていただきます。ぶっきらぼうですが優しい。
青苔荘の情報は以下の通り
- 費用:1,000円/日
- テント場:林間
- 水:山小屋で分けてくれる。
- トイレ:洋式水洗。洗面や暖房完備の清潔感のあるトイレ。外靴を脱いで上がる。
- その他:要予約。小屋番さんの対応も含め、昔なつかしの山小屋。
- 電話番号:090-1423-2725
- 青苔荘ホームページ:http://seitaisou.jp
- アクセス:公共交通…JR中央本線茅野駅下車 麦草峠行きバス 麦草峠下車(徒歩約30分)長野新幹線佐久平駅より 麦草峠行きバス 白駒池入口下車(徒歩約10分)小海線ハチ穂駅より 麦草峠行きバス 白駒池入口下車(徒歩約10分)
車…中央道・諏訪インター又は上信越道・佐久インターより国道299号白駒池入口(白駒池入口駐車場から徒歩15分)
なお、2020年1月現在で青苔荘ではdocomoの携帯電波は通じなかったので、友人との連絡は持参したトランシーバーを活用します。
高見石とランプの宿
テントを張り終わると白駒荘の友人と合流します。白駒池の湖上を歩いていた頃から雲の切れ間に青空が覗き天候が持ち直してきたので、高見石に登ってみることにしました。
高見石は白駒荘の裏山、丸山の東に伸びる尾根に位置します。白駒池を間近に一望にできるスポットです。
白駒池から高見石へ登るには2通りのコースがあります。
ひとつは白駒池入り口から白駒池へ至る道の交差点から尾根上を登る北側のコース、もうひとつは白駒荘旧館の脇から谷を詰め上がる南側のコースです。
青苔荘の小屋番さんの話では、北側の尾根道の方が緩やかで歩きやすく短時間で着くそうです。
今回は白駒荘にいる友人と合流して、旧館脇の南側の道から登り、北側の道で下山する周回コースにします。どっちの道も歩いておきたいのと、山ではしんどいことほど先にしてしておきたいためです。
14:35、白駒荘を出発します。
広めの谷を登っていきます。途中、斜度が急な箇所もありますが、余分な荷物はテントにデポしているのですいすい登れます。テントの入ったメインザックを下ろした時の浮遊感は堪りません。良い意味で。
15:07、高見石小屋に到着。
高見石小屋にはテント場もあるため、ここに泊れば小屋泊の友人と離れることはなかったなと思いました。しかし白駒荘にはお風呂もあるなど施設が整っています。英気を養えるのでそれはそれでよかったかなと思います。
高見石に登ってみましょう。高見石はひとつの大きな岩ではなくごろごろと岩が集まった岩山です。岩の隙間の雪を踏み抜かないよう石の上を歩きます。
展望スポットに立つとかなりの強風ですが、ロケーションは抜群です。思わず「おお〜!すごい」と声が出ました。
黒く見える針葉樹の森に囲まれて、白い雪で覆われた白駒池があります。森の中を歩いてたどり着いたとき、森はこんな綺麗なものを隠していたのかと思いました。しかし高見石から見下ろすと全く隠れていません。同じものでも視点を変えると全く見え方が変わり面白いです。
伝説では、白駒池や雨池は大太法師(デイダラボッチ)と呼ばれる巨人の足跡だそうです。ここから見下ろすと楕円形に見える白駒池を昔の人々がそういったのも頷けます。
さて、景色も満喫したので小屋にスタンプを貰いに行きます。
木造の小屋の中は薄暗く、天井や窓枠にあるランプが古き良き山小屋の味わいを醸し出しています。
高見石小屋には天体望遠鏡もあり、天体観測会を行なっているそうです。周囲の開けた標高2,300mの高見石から見る朝日は綺麗でしょう。
15:58、高見石小屋を出発します。
帰りは縦走路の尾根道歩きます。
道中には誰かの作ったオブジェがあちらこちらに隠れています。3人でさがしながら、芸術散歩を楽しみます。
十字路に16:36に至り、友人2人と別れ青苔荘に16:39に戻ります。
夜、白駒池の桟橋に出てみました。あいにくの曇り空のため星は見えませんでした。風もない静かな夜です。
夕食を食べたらすることも無くなってしまいました。日中は動き通しで疲れているので、トイレと歯磨きを済ませたらシュラフに潜り込んで、いつもより早く21:30頃に眠りにつきました。
「1月 北八ヶ岳を新春登山!天狗岳・茶臼山・縞枯山を2泊3日で縦走 3日目」に続きます。
参考
- 山と高原地図『八ヶ岳』昭文社、2018年
- 白駒池ホームページ http://yachiho-montblanc.com 2020年1月27日閲覧
- 青苔荘ホームページ http://seitaisou.jp 2020年1月27日閲覧
- 高見石小屋ホームページ https://www.yatsu-akadake.com/takami-k.html 2020年1月27日閲覧
- ヤマケイオンライン https://www.yamakei-online.com/yamanavi/yama.php?yama_id=20562 2020年1月27日閲覧
- mont-bell フレンドショップ検索 https://club.montbell.jp/privilege/fshop/search/disp.php?shop_no=890028 2020年1月27日閲覧
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