8月の竜ヶ岳 鈴鹿山脈の秀峰を日帰り登山

山行

はじめに

三重県と滋賀県を隔てる南北の稜線が鈴鹿山脈です。

北は石灰岩のたおやかな山体を草花が彩り、南は花崗岩の山体がクライマー魂をくすぐる益荒男ぶりです。鈴鹿の山いとをかし。

今回訪れる竜ヶ岳はそのほぼ中央に位置し、南北両方の特徴を併せ持つ何ともお得なお山です。

基本情報

  • 日程:8月4日(日帰り)
  • 山域:三重県・滋賀県(鈴鹿山脈)
  • 山名:竜ヶ岳(1099.3m)
  • 体力:★★☆☆☆
  • 技術:★★☆☆☆
  • 展望:★★★☆☆
  • コースタイム:約5:05
  • 距離:約10km
  • 最寄り駅:三岐鉄道大安駅
  • 最寄りIC:大安、菰野、四日市
  • 駐車場:宇賀渓キャンプ場駐車場(500円)
  • 寄り道:アクアイグニス(日帰り温泉)

コース概要

今回は周回コースです。

宇賀渓キャンプ場の駐車場から出発し、金山尾根経由で山頂へ至り、遠足尾根経由で下山しました。

出典:ヤマプラ

以下のコースタイムと距離は、ヤマプラに基づきます。

宇賀渓キャンプ場→0:20(1.4km)→遠足尾根取付→2:00(2.6km)→県境稜線→0:15(0.6km)→竜ヶ岳→0:10(0.6km)→県境稜線→2:00(3.4km)→遠足尾根取付→0:20(1.4km)→宇賀渓キャンプ場

アクセス

公共交通

三岐鉄道大安駅から、平日のみ運行しているいなべ市福祉バス「アイバス」石榑線に乗り山条公会場前にて下車します。国道421号線を西へ徒歩約30分で宇賀渓キャンプ場に着きます。

以前は、7月20日からの1ヶ月間、土・日曜日限定1日2往復、大安駅から宇賀渓まで三岐鉄道バスが出ていました。しかし、2019年時点では宇賀渓まで運行するバスはありませんので、公共交通機関のみでのアクセスは不便です。公共交通機関でアクセスする場合は、タクシーを利用すると便利かもしれません。

マイカー

東名阪自動車道四日市ICから約22km、約40分で宇賀渓入口に至ります。

国道306号線を北上すると左側に鈴鹿山脈が迫ります。写真は今回の目的地の竜ヶ岳です。

マイカーの方は宇賀渓キャンプ場の有料駐車場が利用できます。

普通車は500円(含入山料200円)です。駐車場にはトイレも併設されています。

この建物で登山届を提出します。

コースタイムなどの記された地図をもらえます。

実際の山行の際は、宇賀渓観光協会のホームページなどで最新の情報をご確認ください。

宇賀渓キャンプ村駐車場から遠足尾根取付へ

地図を確認し8:50に出発します。今回は大学時代の先輩と二人での登山です。

駐車場の近くには数件の商店が軒を連ねます。短いアーケードをくぐり北河内林道へ入ります。

川の左岸を遡っていきます。

左手にキャンプ場を見送りしばらく進むと、コンクリートの建造物が見えます。

名古屋大学理学部の地殻活動観測点だそうです。

竜の雫という名の水場があります。

9:20、遠足尾根への取付を見送ります。

東屋を過ぎるとほどなく白滝丸太橋に至ります。林道はここまでです。

9:25、丸太橋を越えると道は本格的な登山道に変わります。植生も針葉樹の植林から広葉樹の自然林に変わります。

魚止滝との分岐近くの鉄橋を渡ります。

分岐を過ぎると所々岩場の斜面を登っていきます。

金山尾根で山頂へ

9:40、岩場を登ると金山尾根に取付きます。ここからは本格的な登山道という雰囲気です。

ただしテープや指導標、進入禁止のロープが張られるなど道迷いを防ぐための整備は為されています。整備に携わる方々に頭が下がります。

明るい広葉樹の木漏れ日が地面にミラーボールのような模様を描きます。

少し開けた場所から、この日の目的地である竜ヶ岳山頂近くの笹原が見えます。あの笹原を歩くためにもうひと頑張りです。

標高を上げ樹林がまばらになると東側の展望が開けてきます。草原と樹林の境界が遠足尾根の登山道です。

県境稜線から竜ヶ岳山頂へ

12:10、道標が見えてきます。遠足尾根との合流点です。

ここからは草原や笹原が広がります。曇りならまだ良いのですが、晴天だと日差し遮るものが無いのでじりじりと焼かれます。帽子などの日焼け対策と十分な水分をお忘れなく。

北側に藤原岳が見えます。右手の段々になっている場所は石灰岩の採石場です。

12:20、県境稜線の分岐です。静ヶ岳へは、滋賀と三重の県境稜線を北西側の方向へ進みます。

8月の上旬、この辺りではトンボが乱舞しています。

緩やかなピークを巻くと山頂が近づいてきます。

少し霞んでいます。良い天気で気持ちのいい尾根道です。

笹原が広がり、山頂がずっと見えています。1000m程の日帰りできる低山でこのような景色が見られるところが、鈴鹿の山の魅力だと思います。

5月頃にはツツジ科のシロヤシオが白い花をつけ、まるで草原に羊が群れているような景観が見られるそうです。

頂上への登り坂から県境稜線の方向を振り返ります。

最後の上り坂は空に向かって歩いているかのようです。

12:45、竜ヶ岳の山頂に到着です。

山頂には山名盤、三角点、展望図などがあります。

員弁の町を眺めながら昼食です。絶景の休憩場所ですが、晴天の昼下がりには暑さがこたえます。

北側には台地状の山容が特徴的な御池岳が見えます。

全方位に展望がきく山頂には、二等三角点が設置されています。

遠足尾根で下山

13:45、下山をはじめます。元来た道を金山尾根のルートとの分岐まで戻ります。そこから遠足尾根のルートを辿ります。

道中、野生の鹿の群れを見ました。クマザサの背丈が短く揃っているのを不思議に思っていたのですが、もしかすると鹿たちが芝刈りをしているのでしょうか。

8月の昼下がりの日差しは苛烈です。笹原に点在するこのような低木の陰で休憩をとりつつ進みます。

14:00ちょうどに金山尾根の分岐に至ります。帰りは遠足尾根を下ります。

町の景色とあまりにかけ離れているので、三重県に居ることを忘れそうになります。

山頂に別れを告げ、樹林の中へ降りていきます。

眼下には員弁の町が見えます。

16:25、遠足尾根取付に至り、午前にも歩いた林道を宇賀渓キャンプ場の駐車場に向けて下ります。

竜の雫で喉を潤し、

17:00に駐車場に到着です。

下山後は湯の山温泉へ

下山後は、湯の山温泉エリアにあるアクアイグニスに併設の片岡温泉で日帰り入浴をしました。

御在所岳に最寄りの温泉で、以前も利用したことがあります。当時、湯船から観た御在所岳の借景に心を奪われ再びやって来ました。今回は温泉と御在所岳の間に高速道路が建設され、山は見えにくくなっていましたが、それでもいいお湯に変わりはありません。

広々とした露天風呂にはちょっとした竹林と東屋が設けられ、寛ぎの空間づくりがなされています。木製のテラスやジャグシーで横になれば、風に揺れる笹の音とアルカリ泉が心身を癒やしてくれます。

おわりに

低山であることを忘れさせる雄大な景観の山で、充実した山歩きが楽しめました。特にお鉢を伏せたような端正な姿と笹原は、四国の剣山を思い起こさせました。また山頂付近では「ここは本当に日本かな」と思うような景色が次々と現れ、日常から離れた経験をさせてくれました。

日帰り圏にお住まいの方、休日に竜ヶ岳はいかがでしょうか。

タイムレコード

以下は、実際に地点を通過した時刻と要した時間です。

8:30宇賀渓キャンプ場8:50→0:30→9:20遠足尾根取付→2:00→12:20県境稜線→0:15→12:45竜ヶ岳13:45→0:05→13:50県境稜線→2:35→16:25遠足尾根取付→0:35→17:00宇賀渓キャンプ場

参考

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