はじめに
言わずと知れた日本一の山、富士山。
「いつかは富士山に!」と思っているもののどうやって登ったらいいのかわからないというあなたのために、私が計画し登頂したときの記録をご紹介します。
関西からだと少し遠く感じる富士山ですが、公共交通だけでもアクセスできますよ。
基本情報
- 日程:8月24日〜25日
- 山域:山梨県、静岡県
- 山名:富士山(3,776m)
- 体力:★★★☆☆
- 技術:★★☆☆☆
- 展望:★★★★★
- コースタイム:9:44
- 距離:約11.8km
- 最寄り駅:JR富士宮駅
- 最寄りIC:新富士IC、御殿場IC
- 駐車場:水ヶ塚公園駐車場(1,000円)
コース概要
登山シーズン
富士山は日本の山としては例外的に登山シーズンが定められています。例年7月上旬から9月上旬までが登山シーズンです。これ以外の期間はルートの入口や山小屋が閉鎖されています。
主要ルート
富士山への登山コースは以下の4つがあります。
ルート | 特徴 |
---|---|
吉田ルート | 富士山に登る登山者の半数以上が利用する。登山道と下山道が別れており、登山道には多くの小屋がある。ハイシーズンには渋滞がおこることも。 |
須走ルート | 樹林帯を抜けるとどこからでもご来光や影富士が見られる。登山道と下山道が別れている。下山道には火山砂利を一直線に下る「砂走り」がある。 |
御殿場ルート | 山頂までの高低差が大きく距離も長い、小屋も少ないため健脚向き。「大砂走り」による下山がダイナミック。 |
富士宮ルート | 4ルートの内もっとも標高の高い位置から出発し、山頂までの距離が短い。その分、傾斜は急で岩場も多い。 |
今回は富士宮口から
今回は、関西から最も近い富士宮口五合目からの周回コースを計画しました。
以下のコースタイムと距離は、ヤマプラに基づきます。
1日目
富士宮口五合目から登り富士宮ルートの七合目にある山口山荘で一泊します。
富士宮口五合目→0:25(0.5km)→六合目 雲海荘→1:00(0.7km)→新七合目 御来光山荘→0:50(0.6km)→元祖七合目 山口山荘(一泊)
2日目
翌日、山頂でご来光を拝み、お鉢めぐりの後、御殿場ルートで下り宝永火口を経由して富士宮口五合目に戻ります。
元祖七合目 山口山荘→0:50(0.6km)→八合目 池田山荘→0:45(0.4km)→九合目 万年雪山荘→0:35(0.3km)→九合五勺→0:45(0.4km)→駒ケ岳→0:24(0.5km)→剣ヶ峰→0:48(1.2km)→久須志神社→0:02(0.1km)→御殿場口下山道→1:00(1.6km)→八合目→0:15(0.4km)→赤石八合館→0:25(0.6km)→七合五勺 砂走館→0:10(0.3km)→七合目→0:20(0.7km)→走り六合→0:10(0.4km)→馬の背→0:25(0.1km)→宝永第一噴火口→0:10(0.4km)→第一火口縁→0:10(0.4km)→六合目→0:15(0.5km)→富士宮口五合目
アクセス
公共交通機関
関西から公共交通機関でアクセスする方法は、新幹線と夜行バスの2通りが考えられます。
- 新幹線 :新大阪や京都などから、静岡や新富士などの鉄道駅へ。
- 夜行バス:あべの橋や京都駅八条口から、河口湖や富士宮などの鉄道駅へ。
これらの鉄道駅から、富士山登山口行きの路線バスに乗り換えます。
夜行便に抵抗がなく時間に余裕があるなら夜行バス、お金をかけても構わないので最短時間で移動したい場合は新幹線が適当だと思います。
夜行バスは、富士急行バスと近鉄高速バスの共同運行便があります。詳しくは富士急行バス高速バスサイトのホームページをご確認ください。
私は当時学生でお金が無かったので、費用を抑えるために京都から名古屋まで新幹線に乗り、そこから青春18きっぷを使って東海道線、身延線を乗り継いで向かいました。
12:32にJRの富士宮駅へ到着しました。
富士宮駅からは富士宮口五合目行きの富士急バスが運行しています。
12:55発のバスで出発。往復3100円でした。
計画時には、富士急行バス路線バスサイトの「富士宮口五合目 発着のバス」欄にて最新の運賃・時刻表をご確認ください。
バスは途中、富士山本宮浅間大社に10分間停車してくれたので、少し見学しました。
この神社の奥宮が、富士山頂にあります。無事、登頂できますようにと祈願しました。
マイカー
例年7月上旬から9月上旬までの登山シーズンはマイカー規制が行われます。
その期間に富士宮口五合目の登山口をめざすには、水ヶ塚公園駐車場に車を停め、シャトルバスかタクシーに乗り換える必要があります。
駐車料金は一台1,000円、五合目までのシャトルバスの往復料金は2,000円です。
実際にマイカーで行かれる際には、富士登山オフィシャルサイトなどで最新の情報をご確認ください。
山行記録
富士宮口五合目から山口山荘へ
バスは、定刻の14:35より10分早く富士宮口五合目に到着しました。標高は約2400m。バスが樹林帯を走っている頃から少し息苦しく感じていました。
富士山総合指導センターで富士山保全協力金として1000円を支払いました。
保全協力金については、富士登山オフィシャルサイトを御覧ください。
14:45に霧の中を出発。
景色は見えず、登山道の足場のザレ場は滑りやすく、呼吸も苦しいという三重苦。やばい、富士山恐るべし…。
出発して程なく白装束に白い作業用ヘルメットを被った見るからにベテラン風の中年男性と出会いました。訊くと何度も富士山に登頂されているそうで、アドバイスをくれました。
こんな感じに舌を出してハァハァ言いながら歩くといいよ。
犬のように口から舌を出して、しきりにハァハァするおじさんと私。
文字にするといよいよ不審極まりない二人ですが、ここで倒れるわけにはいきません。全力でハァハァしました。
幸い富士山では、ほとんどの人は周囲を気に留めていないようでした。それぞれが自分や自然と全身全霊で向き合っているのかもしれません。
霧が晴れてきました。火星の地表を思わせる荒涼とした景色でした。
15:00に六合目の雲海荘を過ぎ、15:45に新七合目の御来光山荘に至りました。
いつの間にか息苦しさも消えていました。おじさんと会話できるくらいのペースで歩いたためかもしれません。先達の助言は侮れませんね。
山口山荘に宿泊
16:35に山口山荘に到着しました。この日の宿です。
山口山荘のある場所は元祖七合目というそうです。富士山にはいろいろな「合目」がありますね。
当日に行きの新幹線内から電話で予約をしたのですが、快く泊めてくださいました。
一泊二食付きで7500円(土日は+1000円、素泊まり5500円)でした。
なお、ハイシーズンや土日祝日に利用される予定の方は、事前に予約しておくことをおすすめします。計画される際には、山口山荘のホームページで最新の情報をご確認ください。
料金を支払い、2段ベッドの相部屋に案内してもらいました。荷物を置いて、食堂で夕食をいただきました。
夕食はカレー。パンとシリアルバーとお茶は翌日の朝食です。
トイレは、バイオトイレが用意されていました。山小屋の中では清潔な部類だと思います。私は安心して利用できました。
登っていたときには足元か上ばかり向いて、後ろ振り返ることはあまりありませんでした。山小屋に到着し、戸外のベンチに腰掛けてこの日に歩いてきた登山道を眺めると、眼下に雲海が広がっていました。
富士山の七合目からの景色は日常とはまるで別世界でした。自分の脚を交互に繰り返し動かす「歩く」という行為。普段、何気なくしている行為の延長でこんな場所まで辿り着けるとは、にわかには信じられないような不思議な気持ちになりました。
翌日の御来光に備え、19:00頃に就寝しました。
「8月の富士山へ 関西から鉄道とバスで日本一のご来光を観に行こう 2日目」へ続きます。
参考
- 富士登山オフィシャルサイト、環境省・山梨県・静岡県 http://www.fujisan-climb.jp/index.html(最終閲覧日:2021年4月30日)
- 「高速バス」、富士急行バス https://bus.fujikyu.co.jp/highway/detail/id/9(最終閲覧日:2021年4月30日)
- 富士山表口元祖七合目 http://fujisan-ganso.jp/index.html(最終閲覧日:2021年4月30日)
- 富士山本宮浅間大社 http://fuji-hongu.or.jp/sengen/(最終閲覧日:2021年4月30日)
- 山と高原地図『富士山』昭文社、2014年
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